平成23年 第2回 定例議会

酒井 伸二 議員

震災時の市の初動態勢を問う!

 今回の質問では、まず震災の初動態勢について伺いました。というのも、一つに津波警報が発令された際、本市では防災無線放送が流されなかったこと、二つに浜野川水門など水門の開閉作業が遅延したことにより、津波の影響で近隣住宅街(浜野町や寒川町)で浸水被害が発生したことなどがあったからです。改めて本市の災害対策本部はまともに機能したのか?何が課題だったのか?どのように総括をしているのか?等々、質問を行いました。

 防災無線放送については、災害対策本部の立ち上げに手をとられており人員不足を理由にあげておりました。(・・・市民への広報業務の方が優先事項であるはずですが・・・。)また、水門の問題については指令元の県と電話が不通であったことや交通渋滞を理由にあげておりました。(・・・その為に非常用通信手段として携帯用無線が配備されているはずですが・・・。)そして、その携帯用無線に至っては「職員が使用方法を熟知していなかった」「使用に関しての訓練不足」とのこと。

  仮に被害がそれなりに発生していたならば、これらは「人災」と言われても仕方のない内容と言えます。要は、個々の職員レベルにおける危機管理意識の低さと全庁的な危機管理体制の欠如が露呈したと言えるのではないでしょうか。

危機管理組織(※1)の編成とBCP(※2)の策定!

そこで、かねてより提案していた危機管理組織の編成やBCPの早期策定を求めたところ、7月1日付けで危機管理組織を編成するとともに、本年9月以降にBCPの策定に取り組むとの答弁がありました。安全・安心の行政体制へ、一歩前進です!

※1 危機管理組織:近年多くの自治体において危機管理監を配置するなど、24時間対応可能な常設の危機管理センターを設置しております

※2 BCP:業務継続計画。地震や水害、新型インフルエンザなど、不測の事態が発生しても団体が重要な業務を早期に復旧し、継続できる体制を整えるために策定される計画。危機に直面した際、より具体的かつ詳細に各部門及び個々人の役割や行動規範を定める計画。近年、様々な企業や自治体でBCPの策定が進んでおります。

備蓄体制の見直しを!

 本市では、「各中学校区に一カ所」の考え方で備蓄倉庫が設置されております。この体制で良いのでしょうか?表1のように、本市内の中学校区別の人口には大きな差があります。また、帰宅困難者の受け入れなども考慮すると、近隣に駅を抱える地域にはより手厚い備蓄体制が求められることは言うまでもありません。市からは、人口分布などを勘案し備蓄倉庫の増設について検討していくとの答弁がありました!

帰宅困難者(※3)対策に着手を!

 今回の震災でも、本市の避難所において約6,000名の帰宅困難者等を受け入れました。鉄道事業者との連携もままならず、かなり混乱したようであります。私自身、3年前の議会で鉄道事業者や宿泊施設等と協議会を設けるよう提案しておりました。当時の答弁では、「連携に向けた協議を進める」とのことでありました。改めて質問したところ、「具体的な協議には至っていなかったため早急に協議を行う」との答弁。今後の取り組みを注視していきたいと思います。

※3 帰宅困難者:本市が想定する東京湾北部地震では、約10万人の帰宅困難者で出ると想定されております。今回の質問では、帰宅困難者用の避難 所の設置も求め、検討頂くこととなりました。

「避難所運営委員会」の設置を!

 阪神大震災において「避難所に必要なものは?」とのアンケートで最も多かったのが、「行政と地域との役割分担」「避難所運営マニュアル」であります。
 さて神戸市には、「避難所運営」を前提とした"防災福祉コミュニティー"(「防災」「福祉」をテーマに結束したコミュニティー)があります。全小学校区ごとに結成されており、自治会のみならず、PTAや老人会・婦人会・地域団体等、様々な団体により構成されており全住民をほぼ網羅しております。今求められている地域力も向上し、国際協力機構の国々からも注目されております。
 そこで、自治会加入率や自主防災組織の結成率の低い本市にあって、かねてより神戸市をモデルとした小学校(避難所)単位の防災組織「避難所運営委員会」の結成を要望してまいりました。今回の震災を機に改めて提案したところ、「モデル地区を設定し取り組む」との答弁がありました!

学校の耐震化の前倒しを!

 本年5月、政府は公立小・中学校の耐震化率を2015年までに100%にする方針を発表。一方で、本市の状況は(昨年の4月現在)63.6%で政令市19市中15位となっております。「一日も早く耐震化を」との思いは誰しも共通の願いであり、改めて計画の前倒しを求めました。市からは「可能な限り前倒しに努める」との答弁がありました。

集客施設(天井)の総点検を!

 今回の震災で、東京都千代田区の九段会館で大ホールの天井が落ち、女性2人が死亡するという事故が発生致しました。そして本市においても、ポートアリーナで天井落下がありました。そこで改めて本市内の集客施設等の点検状況を質問しました。その結果、ポートアリーナについては法定点検が未実施であったことが発覚!(本件は、質問翌日の読売新聞にも掲載されました。)その他民間施設においても(昨年の調査で)10施設中7施設に問題があり、改善指導をしたとのこと。とても看過できる内容ではなく、今一度総点検を実施するとともに「指導をして終わり」ではなく、点検の実施如何を確認していく仕組みづくりに取り組むよう求めました!

防災行政無線に「音声自動応答装置」(※4)の導入を!

多くの市民から「聞き取りにくい」との声が寄せられている防災行政無線の放送。スピーカーの設置ポイントを増やすとともに、「音声自動応答装置」の導入を提案致しました。市からは、何れも前向きに取り組む旨の答弁がありました!

※4 音声自動応答装置 : 防災無線が流れた後、(聞き取れなかった市民のために)電話をすれば同じ内容が音声により確認できるサービス。

「被災者支援システム」(※5)の導入を!

震災を通じて被災者への義援金の配分遅延が問題となっております。背景の一つには、各自治体における膨大かつ煩雑な行政事務があります。通常、義援金の配分などに必要な罹災証明書の発行には、住民基本台帳と家屋台帳、そして被災状況の調査結果の3つのデータを突き合わせる必要があります。しかしながら、多くの自治体ではこれらのデータベースが独立して存在しており、被災時にデータの突き合わせや確認作業に手間取ることとなります。
(本市では、今回の震災で約1500件の罹災証明書を発行。かなりの労力を要したとの答弁。一方で、想定される東京湾北部地震では、建物全壊は約10倍の1万840棟とされております。)
 さて、そうした事態に効果を発揮するのが「被災者支援システム」であります。行政として有事に備え、最低限準備しておくべきシステムであり早期の導入を求めました。市からは、前向きに取り組む旨の答弁がありました!

※5 被災者支援システム : 阪神大震災の際、兵庫県西宮市で開発され、総務省より全国の自治体に無償配布されております。

放射線拡散問題~わかりやすい広報と測定の継続を!

 5月の臨時議会において大気中の放射線量測定の実施を要望したところ、6月の6~7日にかけて市内20カ所において測定が実施されました。その結果・・・

①震災前(H21年度)の最高値:0.067マイクロシーベルト/時
②震災直後(3月15日):0.732マイクロシーベルト/時(①の約11.0倍)
③現 在:0.09~0.24マイクロシーベルト/時(①の約3.6倍)

 いずれも国の指標である1.0マイクロシーベルト/時は下回っており、専門家のコメントでは「子どもたちの外遊びを心配するほどではない」とのことでありますが、あまり気持ちの良い話ではありません。継続的かつより多くの地点で測定を行うこと、分かりやすい広報を行うことを要望しました。

⇒7月15日付けの「市政だより」において特集記事の掲載が決定しました!

津波避難ビルの設定を!

 本市としてこれまで想定していた津波高は最大で50㎝でありましたが、今回の震災で93㎝を観測しました。「いざと言う時、どこに逃げれば良いのか?」との声もよく頂きます。そこで、先進都市にならい津波の際に避難できる津波避難ビルの設定に取り組むべきと主張したところ、「まずは学校等の公共施設を指定し、民間施設への協力の呼びかけも検討していく」との答弁がありました!

市民との協働による防災マップ作りを!

 自助、共助を高めるには、危険性をしっかりと市民に知らせる取り組みが重要であります。しかしながら、現行のハザードマップ一つをとってみても、その存在を知らない方も多く、周知についての更なる工夫と改善が必要と考えます。そこで、「地域のことは地域に住む住民が一番よく知っている」との観点に立ち、住民が主体となりそれを行政がバックアップする形で地域別の防災マップの作成に取り組むよう提案しました。

要援護者(※6)対策の強化を!

 本市では、要援護者情報の「地域との共有」が進んでいないこと、「福祉避難所」(※7)の設置が進んでいないことが明らかになりました。そこで、先進市にならい市内の社会福祉施設と災害時の要援護者支援の協定を推進するよう提案しました。

※6 要援護者:独居高齢者や障害者など、災害時に援護を要する人。地域との情報共有については個人情報の問題もありますが、既に15の政令市で対策を講じております。

※7 福祉避難所:通常の避難所では生活に困難を生じる方のために、介護施設等を「福祉避難所」として設定する自治体が増えております。

防災教育の見直しを!

 「釜石の奇跡」とよばれるエピソードをご存知でしょうか。今回の震災で、犠牲者が約1,300人に上った岩手県釜石市において、小中学校における独自の防災教育が功を奏し、迅速な避難劇の結s果、学校管理下にあった約3,000人の子どもたちが全員無事であったというものであります。徹底された三原則は、「想定を信じるな」「ベストを尽くせ」「率先避難者たれ」であったそうであります。10年、20年たてば子どもたちは大人になります。これまでの防災教育を改めて見直し、新たな防災教育プログラムの確立に取り組むよう提案しました。

市長のトップセールスを!

震災と地域経済を考えた時、今後の夏場の電力不足による生産活動の落ち込みが懸念されます。その意味では、東日本大震災は現在進行中であり、一段と経済振興策の充実に取り組むとともに、中小企業、地域の商店街と、より現場に近いところで経済動向を掌握し、風評被害対策や資金繰り支援などきめ細かい対策を迅速かつ的確に講じて頂ける様、要望しました。また、折しもこの10月、市長が経済交流を目的に中国の天津市を訪問することとなっており、(震災を通じて「日本離れ」が顕著になっている中)千葉市観光のトップセールスを実施頂くよう要望しました。