平成25年 第2回 定例議会

酒井伸二議員

1.人口減少への対応について

(1)人口動態と政策形成について
『シミュレーションの実施を』

本市の人口動態に関する質問で、今後、国を上回るスピードで高齢化が進むとともに、生産年齢人口割合が減少していくことが明らかとなりました。また、団塊の世代が全て後期高齢者となる「2025年問題」においては、2010年比で10万3千人増(約1.8倍)、人口構成比率は8.4%から19.0%に急増するとのこと。市税収入の減少と高齢化に伴う扶助費の増大等が予測されるところであり、今後の政策はどうあるべきか?議論の土台となる実態を明らかにしていく作業が必要と考えます。
そこで、「根拠本位の政策形成、確かな政策議論のためにも、人口構成の変化による市の収支見通しなど、詳細なシミュレーション、検証作業をすべき」と主張致しました。
当局からは、「今後の政策の方向性をより的確に見極めていくために、長期的、多面的なシミュレーションが必要であるものと考えており、その手法について十分に研究していく」との答弁がありました。

※三鷹市では、人口構成の変化による財政への影響についての検証は、持続可能な都市経営と自治体政策のあり方を検討する上で不可欠との考えから、別表のような各種シミュレーションを行っております。悲観ケースでは、扶助費が個人市民税をやがて上回り、楽観ケースでも個人市民税に対する扶助費全体の割合は大幅に増えております。

『都市のブランド化をいかに』

市長は所信表明において、(今後4年間で取り組まなければならない課題として)「社会経済情勢の変化を受けての千葉市の立ち位置の明確化」を真っ先にあげておりました。また、「東京都市圏とは一線を画した独自の価値観の提示」と繰り返し発言をしております。 
さて、今後いかに都市イメージを高め、ブランド化を図っていくのか?先進市の取り組みを紹介するとともに、今後の取り組みを質問しました。
当局からは「総合政策局が全庁的な調整を図り、具体的な都市イメージのコンセプト、本市の優位性のより効果的なPR方法などを検討し、市内外へ戦略的に発信していく。」との答弁がありました。

※流山市では、子どもがいる共働き夫婦「デュークス」にターゲットを絞り、住民誘致を推進。子育て世代に支持される良質な住環境整備にも力を入れ、徹底したイメージアップ、ブランド化を図り、その呼び込みに成功しております。

(2)地域課題への対応について
『空き家問題について』

本年4月から適正管理に関する新たな条例が施行されておりまが、現状について伺うとともに、管理不全な空き家を減少させる更なる支援策の強化を求め、質問を致しました。また、空き家バンクの創設等、空き家の有効活用策の導入についても見解を伺いました。
 この2か月で1年分の相談が寄せられていること、要改善案件が累計で163件(中央:54、花見川:57、稲毛:20、若葉:22、緑:10、美浜:0)あること、各区2名の職員体制であることの他、体制の強化と合わせ管理不全な空き家を減少させる何らかの支援策の検討、空き家の利用促進策の導入を検討していくとの答弁がありました。
中には「地域の積年の課題」とされている案件もあり、「所有者に対する一方的な文書発送等、勧告・措置命令まで数ヶ月も要する一律の対応」ではスピード感がないこと、体制の見直しとともに状況によっては直接的なアプローチが必要である旨を訴えました。

※国交省では、過疎や人口減の市町村に限って認めていた「空き家再生等推進事業」による家屋の撤去対象を本年5月から全国に広げております。市町村が解体費用の最大5分の4を補助、国がその半分を負担するというものであります。その他にも、管理不全な空き家を減少させる支援策として、市が寄付を受けて建物を取り除き、跡地を地域住民で活用する事業を設けるなど、独自の施策を講じる自治体も続々と出てきております。

『既に人口減少が始まっている地域への対応について』

中央区全体では実に4割の町で既に人口減少が始まっております。そしてこれらの地域を歩くと、住環境の基本である道路設備の不備が目につきます。「ここは不便で子どもたち、若い人たちは帰ってこない」・・・これが、各地域で実際に伺った皆様共通のコメントでありました。
そこで、既に人口減少が始まっている地域の掌握状況や、そうした地域の諸課題についてどのように把握し、どのように対応していこうとされているのか、見解を伺いました。
人口減少については細かな状況掌握ができていないこと、また今後の取り組みとして「地域担当職員制度」など、よりふさわしい地域づくりの体制を検討していくとの答弁がありました。
人口減少地域等、地域ならではの諸問題の掌握に力を注ぐとともに、それらに的確に対応できる体制づくりこそ急務であると訴えました。

※7月より、「ちば市民協働レポート」の実証実験が始まっております。(スマートフォンを活用し、市民から地域課題を写真付きでレポートしてもらう仕組み。)新たな市民参加を促す点で否定をするものではありませんが、人口減少、高齢化が進む地域で、スマホで発信する人は皆無に等しいのではないでしょうか。真に支援を必要とする人たちの声が埋もれてしまわないかが気になるところであります。そのあたりの整合性を踏まえた仕組みづくりを求めました。

2.地域経済の活性化策について

 (時間の都合上、中小企業支援についての質問を省き、企業誘致についてのみ質問致しました。)
企業誘致についてはこの4年で29社の誘致に成功しており、約1,000人の雇用創出、H33年までの累計で約30億円の税収増が図られるなど、一定の評価はできます。
一方で、リーマンショック後の市内の中小企業・事業所数の減少は深刻であります。法人市民税は、H20年度からH23年度にかけて約△42億円/年、事業所数は、H21年度からH24年度にかけて約△1,500事業所となっており、更なる取り組みの強化が必要であることを指摘しました。
その上で中長期の視点から、エネルギー・環境、健康・医療等の成長分野など、遠い将来に大きく開花しそうな業種・企業にピンポイントでアプローチし営業をかけていくような戦略性も加味すべきと訴えました。

※例えば、iPS細胞で昨年話題となった再生医療の国内市場規模は、人工皮膚などの製品とその周辺産業を合わせて昨年時点で260億円。これが、目の角膜再生技術の実用化などが進むことで、7年後には1,900億円、18年後には1.5兆円、38年後には3.8兆円と爆発的に拡大すると言われております。また、介護ロボット関連の市場規模については2015年の約170億円から35年には4,000億円と急激な成長が予測されております。

当局からは、「現制度により集積した企業の状況や課題などを十分に検証し、本市の産業特性に合った誘致活動や制度の整備を行っていきたい」との答弁がありました。

3.海辺の活用について

人工海浜及び千葉中央港の桟橋の整備にあたり、①民間活力の活用法、②県市間調整における本市のスタンス、③交通アクセスについての課題認識、の3点について質問を致しました。
民間活力の活用については、人工海浜におけるレストラン、中央港における旅客船ターミナルといった施設整備の公募にとどまっているほか、県市間調整については、(県管理下の施設を含む)エリア一体を捉える視点の欠如が感じられる答弁でありました。また、交通アクセスの問題については、今後の重要な検討課題と考えているとのことでした。
そこで、①(事業者選定にあたっては)プロデュース力、マーケティング力を求め妥協しないこと、②本市がエリア全体の「グランドデザイン」「集客戦略」を描き、(県に対して)イニシアチブを取って進めていくべき、③駐車場対策など、交通アクセスの改善も視野に取り組むよう要望致しました。

4.学校支援地域本部について

※「学校支援地域本部事業」は、地域ぐるみで学運営を支援する体制として、いわばボランティア本部をつくる事業です。学校と地域のかけ橋を整備し、地域人材等を活用するためのコーディネート組織の整備にねらいがあります。また、多様な形態の教員支援を可能とし、子供と向き合う時間の拡充を図るというもので、全国では既に約3,000もの本部が立ち上がっていると言われております。本市にも学校評議員制度や青少年育成委員会などがありますが、より多くの地域人材の参加を容易にするとともに、将来的な永続性を意識した仕組みとなります。

本件は、2008年の第一回定例会において千葉市議会で初提案。2010年の第二回定例会では「協働の推進」の観点から再提案。そして今般、磯部小(美浜区)をモデルに試行の運びとなりました。
市長の所信表明において(本事業の発展形として)「コミュニティスクール」導入の可能性についても言及されたことから、「学校支援地域本部」との違いなどについて質問致しました。
(答弁では)「学校支援地域本部」は、学校のニーズに基づき地域のボランティア等により学校を支援する組織で、「コミュニティスクール」は、学校運営協議会において学校経営方針や人事についての意見を述べるなど、地域住民等が主体的に学校運営に参画する仕組みとのことでありました。
「コミュニティスクール」と一言で言っても多様な形態があるようであり、検討そのものは否定するものではありませんが、個人的には教育の本来あるべき中立性などを考え、経営方針や人事まで踏み込む点については少々行き過ぎの感があり、慎重になるべきと訴えました。