内科

高脂血症と食生活高血圧と食生活成人病にならないために
急性心筋梗塞お年寄りに多いムネヤケツツガムシ病
アトピーとアレルギーダニとアレルギーホルモンと健康
自律神経失調症糖尿病の合併症



高脂血症と食生活

身体全体に、酸素と栄養を届けている動脈、そこに脂肪滓が付着すると脆くなってきて 動脈硬化になります。それはちょうど、水道管の内側が参加して、破裂しやすくなった 状態といえましょう。動脈硬化の原因となる脂肪は、コレステロールと中性脂肪で、こ れらの脂肪が血液中に増えてきた状態を高脂血症といいます。

もしも、その硬くなった動脈が破れるようなことがあったらたいへんです。それが脳の 中で切れると、脳卒中になります。また心臓を養っている冠状動脈に起これば、心筋 梗塞は命にかかわる病気なのです。

最近、日本人の脂肪の取り方が、たいへん増えていますので、毎日の食事には十分 気をつけましょう。

バランスのある食事を心がけること、そしてカロリーを調節することで、コレステロール や中性脂肪を正常範囲に保つことができます。

まずはじめに、1日の摂取カロリーを適切にすること。標準体重、これはだいたい身長 ひく100を目安にして計算しますが、1kgあたり25〜30カロリーにします。身長160cm の人では標準体重60kgで、1日1,500から1,800カロリーです。

次に、ゴマ油、コーン油などの植物性脂肪をバター、ラードなどの動物性脂肪の約2倍 とるようにし、夕食は控えめにし、アルコール飲料の量を減らしましょう。

また、動物や魚の内臓は、コレステロールを多く含んでいるので注意し、愛煙家の方は できれば禁煙に努めましょう。




高血圧と食生活

皆さんご存知のとおり、血圧の高い人の食事の注意で一番大事な事は、塩辛いものを摂らないことです。塩分が多くなれば、その中に含まれている「ナトリウム」が、余計 に腎臓から排泄されるために、血圧がさらに上がってくることになります。「ナトリウム」は、生命を保つために必要ですが、ごくわずかでよいのです。塩味を感じない程度の 食事で充分にたりているのです。

繰り返しますと、食塩が多く体内に入ると、体の細胞の間にある水分が増えてきます。 そして、心臓でおし出す血液の量が増え、血圧が上昇。腎臓の「ナトリウム」排泄量の 増加となってきます。

反対に「カリウム」には、血圧上昇を抑える働きがあります。「カリウム」によって血管が 広げられるからです。

おもな食品に含まれる食塩のめやす量は、食パン1枚0.7g、ゆでうどん1人分0.8g、梅 干1個2g、味噌汁1杯1〜2g、バター1回分0.2gといったところで、1日量をなるべく8g 以下にするのが良いでしょう。

食塩制限のつぎには、糖分を減らすことです。肥満はよくありません。糖分の取りすぎ が結果的に肥満になり、それがまた血圧を上げることになるからです。

3番目には、脂肪の取りすぎに注意することです。脂肪の中にあるコレステロールなど が血液中に増えてくると、血管を硬くしたり、心臓病がおこりやすくなります。

良い食事の例としては、朝食はパン1枚とマーガリン、野菜サラダ、オレンジジュース 1杯。昼食は、野菜サンドと砂糖なしのレモンティー1杯。夕食は、お吸い物1杯、茶碗 蒸しに薄口の寄せ鍋といったところです。




成人病にならないために

成人病とは、皆さんご存じのように、癌、心臓病、脳卒中、糖尿病、高血圧などです。この中でも、癌、心臓病、脳卒中は、死亡原因の上位3番目までを占めている病気で、 最も注意しなければならない病気死亡原因の70%にあたると言われています。

成人病は、その人の長い間の癖とか習慣で、つまり不健康な生活習慣からかかりやすくなるのです。成人病がこわいのは、自覚症状がなくてやってく ることです。肥っている人、特に最近急に肥ってきた人は注意しましょう。自分の家族やに親戚など隼、癌、心臓病、高血圧があれば、何も特に具合の 悪いところがなくても、車の点検と同じように、人間ドックなどで検査を受けた方がよいでしょう。転ばぬ先の杖のたとえのように、成人病になる前に、成人病にかかりにく い生活習慣をっけておいて下さい。それは、すべての病気に対して当てはまるようなことで、誰にでもできそうなことです。

幾つかの項目を挙げておきますと、先ず初めに、食事に気をっけること。バランスのとれた栄養。2番目には、適度な運動をすること。3番目には、よく眠ること。4番目には、肥らない ように注意すること。5番目には、ストレスをためないこと。6番目には、タバコを吸わないこと。7番目には、アルコールは程々に。8番目には、趣味や生きがいを持つこと。

この中で食事については一番大切なことですが、これについてはまた別の機会にします。 ストレスが成人病の原因になると言っても、ストレスのない生活は現在の 社会では無理でしょうが、その人それぞれ違った方法で、ストレスを発散す ることを考えましょう。




急性心筋梗塞

心臓病による死亡は、死因の第2位になっています。食生活が西欧化しているので、急激に増加してきています。心臓病のなかでも急性心筋梗塞は死 に至る病気です。心筋梗塞は、心臓の組織に栄養を供給する冠動脈がつまって、その血管が支配している心臓の筋肉が障害を受けるために発生する病気 です。

急性心筋梗塞の症状としては、前胸部痛、左胸から左上腕にかけての痛み疲労感、吐き気、堰吐、呼吸困難、動博、冷や汗、みぞおちの不快感などが 見られます。狭心症の胸の痛みは、安静にすることにより、または、ニトログリセリンの服用により数分以内に軽減することが多いのですが、心筋梗塞 の胸の痛みは、しめっけられるような痛みが30分以上続くことが特徴です。

心筋梗塞ではないかと思われる症状がおこったら、すぐに医療機関で診察を受け、心筋梗塞と診断され声ら、心臓疾患の集中治療室のあるところに入 院しましょう。

急性期の死亡率は15%と言われています。心筋梗塞による死亡の大部分は、心不全、不整脈の合併によるものです。 冠動脈のつまる原因としては、動脈硬化によるものが大部分です。

動脈硬化を促進する因子は、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、タバコなどで、薬物療法や食事の注意、適度の運動により、動脈硬化が進行しないようにしな ければなりません。ことに、血液中のコレステロールが高く、しかもその成分のうち、善玉コレステロールと言われるHDLコレステロールが低い人は、 食事療法と運動療法をしっかりとしなければなりません。




お年寄りに多いムネヤケー逆流性食道炎について−

「みぞおち」から胸の中央の下の方にかけての焼けるような感じをムネヤケといいます。

昔から胃液が食道へ逆流して起きると思われていましたが、本当にそうか、実験をした人がいました。風船を食道の下の方に入れてふくらましたところ、 ムネがヤケましたが、胃酸をゆっとくり食道に入れてもムネヤケは起きませんでした。今では、食道の下の方が押し拡げられたり、胃液や食道の逆流な どの急激な刺激が原因でムネヤケが起こると考えられています。

ですから、さつまいもを食べて起きるムネヤケは、胃の中に早く流し込むように水を飲めば治りますし、たまに起きるムネヤケは、制酸剤を飲めばす ぐおさまるのです。

しかし、いつもムネヤケがあり、苦しんでいる人もいます。このような人 にファイバースコープを使って検査してみますと、食道の粘膜がすりむけたようなビランになっていたり、浅い潰瘍になっていたりします。 このような病気を「胃食道逆流性疾患」とよびますが、ふつうは「逆流性食道炎」と言ってます。

この病気は、どちらかというとお年寄りに多くみられ「食事の後あおむけに寝ると食道の上の方まで食べたものが逆流 してくる」などと訴える人もいます。こんな場合は、夜寝るときに頭を高くして寝たり、刺激の強い食物をさけ、さらに胃潰瘍を治す強い薬や、胃の動 きを調整する薬を利用して治療することになります。この治療法は大変効果があるのですが、治ったからと安心せず、ファイバースコープで悪性の病気 が隠れていないか確かめることも大切です。




ツツガムシ病

昔から、病におかされず無事健康である、という意味に使われる『つつがない』ということばは、このツツガムシ病からきたと言う説があることをご 存じでしたか?

この病気はツツガムシというダニの一種に刺されて発病する感染症です。このダニは1ミリ程度の大きさで野ネズミに寄生しているため山間部や河川 敷、最近ではゴルフ場の近辺で感染したという報告もあります。

ツツガムシ病は、かつては新潟、山形、秋田県などの限られた地域に見られ致命率の高い風土病として恐れられていましたが、最近では日本全国どこでも見られる ようになりました。栃木県でも毎年10人弱の患者さんの報告がありますが、実際にはもっと多くの人が感染している可能性があります。

ツツガムシに刺されるとリケッチアという病原菌が体の中に入り10日日 頃から高い熱がでて、全身に赤い発疹ができ、リンパ節がはれたり、肝臓が 悪くなってきます。刺された場所は直径1センチぐらいでドス黒くほれてき ます。重症になると意識が無くなり、ほおっておくと命を落とすこともある 恐しい病気です。

しかし幸いなことに特効薬としてテトラサイクリンという抗生物質があり、普通の抗生物質ではまったく効かないこの病気も、テトラ サイクリンを使えば劇的に改善することができます。

伝染病と言っても人から人にうつるわけではありませんが、春先から秋にかけて山歩き農作業、山菜とりなどに出かけた後、このような症状があった ら、ただのカゼひきなどと思わないで、この病気も頭にいれてお医者さんの診察を受けることが大切でしょう。




アトピーとアレルギー

アトピーとは、遺伝から来る遺伝性過敏症のことです。毎年2月から4月にかけてのスギ花粉症などのアレルギー性の病気の中で、遺伝的な素因、体 質を持ったものをいいます。従って、花粉症や、アトピー性皮膚炎の患者さんは、家族性であり、親や兄弟姉妹にアレルギーの病気が頻繁に見られます。

アレルギーとは、外から来る異物や細菌から人の体を守る免疫の反応とは違っているということを意味しています。現在のところ、異常な免疫反応で 過敏な状態を示していて、アレルギーの中の即時型といって2〜3時間以内にあらわれて来る花粉症などのアレルギーのことを、T型アレルギーといっ ています。

これらのことから、アトピーとは、主としてT型アレルギー性疾患による遺伝的な素因を持ったものであるということができるでしょう。

花粉症により、花の粘膜におけるアレルギー反応が起こります。このために頻発するくしゃみ、鼻水がでます。花の粘膜が腫れて鼻がつまった感じに もなります。これらはアレルギー性鼻炎によるものであり、涙がたくさんでたり、まぶたが揮くなるといった眼における症状は、アレルギー性結膜炎に よるものです。

季節の到来と共に症状が出る場合には、あらかじめ医師に申し出られて、何らかの予防処置をしますと、症状が軽くすむこともあるようです。病院や 医院の窓口でご相談下さい。

付け加えて置きますが、あまり極端な食事制限などは必要ありませんし、それよりはむしろ体を少し鍛えられた方がよいでしょう。 アレルギーが遺伝的で、アトピー性であっても命にはあまり関係ないのですから元気を出して下さい




ダニとアレルギー

ダニというと昔から「街のダニ」というように、人の血を吸う嫌な虫を想像しますが、これは「マダニ」のことです。

「小ダニ」は、このマダニとは全く別の種類で、体もずっと小さく、血を吸う代わりに人間の垢やフケを餌にしています。 室内のゴミ「ハウスダスト」には、動物の毛や垢、植物の繊維や食べ物の屑などいろいろなものが含まれています。 小ダニは、このハウスダスト1gの中に1千匹以上もすんでいます。大きさは約0.3mmでよく見れば肉眼でやっと見える程度です。 人に危害は加えませんが、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の原因の一つであることが分かっています。

この小ダニの体やフンを大量に吸い込むと、鼻が出たり咳が出たり、ゼー ゼーと息苦しい呼吸になったりします。皮膚につくと湿疹ができることもあります。

最近はこのようなアレルギー性疾患が増えてきています。その理由として、生活環境の変化によって小ダニが増えたことがあげられます。 繁殖には温度25度、湿度75%が最適といわれています。鉄筋コンクリートにアルミサッシ、家中を冷暖房するようになって、室内は湿度が高く、換 気が不十分となりました。カーペットが増え、電気掃除機が普及してタタミやカーペットをあげて掃除しなくなったことなどによって、小ダニにとって 四季を通じてよい条件が満たされるようになり、増加してきたといわれています。

小ダニを人間の生活から完全に追放することはできません。しかし、環境を整備することでその数を減らすことはできます。それがアレルギー性疾患 にとって大切なことなのです。




ホルモンと健康

人間が本当に健康で、はたから見ても躍動的で生き生きとしているときにはホルモンがうまく働いていると言えるでしょう。

人の体には、何種類ものホルモンがありますが、その出方をコントロールするのは脳の視床下部と言う部分です。ここからホルモン放出物質がでて脳下垂体に体中の内分泌腺を 刺激するホルモンを出すように命令をします。そして脳下垂休自身や甲状腺副腎皮質、畢丸、卵巣などの内分泌腺からそれぞれ特有の働きを持っホルモ ンが出されます。

ホルモンは血液の流れに乗って体全体に遵ばれます。そして体の成長を促したり、内臓の働きや血液循環を良くしたり、吸収した栄養をエネルギーと して利用する能力を高めたり、様々なストレスにうまく対応できるように体の準備を整えたり、非常に大切な働きをしています。

私たちがホルモンの存在を最も意識するのは性ホルモンでしょう。遺伝子によって決められた男女の性の特徴をさらにはっきりと男は男らしく、女は 女らしい体つきにします。思春期になると性ホルモンの分泌が高まり、性器が発達して性行動が盛んになります。特に女性では月経、排卵、妊娠、出産、 授乳などの時には、ホルモンの微妙な調節が行われ、年齢が進んで卵巣の働きが落ちてくると多くの人が不愉快になる更年期となり、やがて閉経を迎え ます。男性にも更年期はあるのですが、女性のようにはっきりとしたものではありません。

不愉快なストレスを受け続けるとホルモンのバランスが崩れ、体調が乱れてきます。体の健康とホルモンのバランスを保っには、心の安定も必要なの です。




自律神経失調症

自律神経は、私たちの意思とは関係なく反応する臓器などの器官を支配している神経の系統です。私たちの命を保つために必要な器官の働きが、全てこの自律神経によってコントロールされています。

自律神経には、交感神経と副交感神経とがあって、交感神経と副交感神経の2つの神経がバランスをとって、自動的にコントロールされているのです。どちらかの興奮が強すぎたり、弱すぎたりすると、 器官の働きのコントロールが失われる、これが自律神経失調症です。

症状が、心臓とか胃とかに目立つ場合には、それぞれの専門の科で診てもらうことになりますが、症状が多方面にわたるときは困りますね。頭痛、イライラ、肩こり、めまい、低血圧、冷え症、下痢、 便秘、動博、その他様々な症状が出てきます。悩みごとや体の疲れ、暑さや寒さの刺激がストレスとなって、自律神経に影響するのです。

ホルモンの調子の変化する更年期には、自律神経の働きが乱調子になってきます。俗にいう更年期障害といった状態です。自律神経中枢とホルモン中枢は、関係が深く、お互いに協力し合ってストレスに向かって 行くことになります。病院では、内科、神経科、婦人科などに診察を受けに行くことになりますが、明らかな自律神経失調となりますと、自律神経の中枢に作用する自立神経調整剤や精神安定剤などを使うことになり ます。ホルモン剤を使うこともあります。

精神療法としての自律訓練法は、あなた白身でやる方法です。まず気持ちを落ち着かせる。静かな部屋で、楽な姿勢で椅子に腰掛けて、両手、両足がとても重たい、両手、両足がとても温かい、心臓が規則正しく打っている、楽に呼吸している。おなかが温かい、顔の額が涼しい、 といったように、心の中で呟きながら、自己暗示を掛けていくのです。




糖尿病の合併症

糖尿病の患者は、全国で500万人いると言われています。

250万人の人が治癒を受けています。残りの人は、食事療法をしているか、未治癒の状態です。40才以上の人の10人に1人は糖尿病だという報告もあ ります。糖尿病は、全身の疾患で、糖尿病の合併症には、血管と神経障害が見られます。

血管の障害では、大きな血管も小さな血管も障害を受けます。大きな血管障害は、心筋梗塞、脳卒中、壊垣(えそ)が主な病気です。心筋梗塞は、心 臓の栄養血管である冠状動脈の硬化が、糖代謝異常により増進されるためです。

糖尿病における脳卒中の発症率はかなり高く、脳卒中の中でも脳梗塞が多く見られます。それは、糖尿病では血液の糖度が高くなり、その結果、脳動 脈が閉塞しやすいと考えられます。

小さな血管障害は、腎臓の障害と目の網膜症です。糖尿病と診断され、10〜15年後に尿に蛋白がでて、さらに3〜5年すると腎臓機能が低下してき て人工透析になります。毎年6000人位の人が透析を受けていて、透析患者の30%が糖尿病によるものです。

網膜症がでる頃には、糖尿病が発症して7〜10年はたっています。眼底血管により毎年3000人位の人が眼が見えなくなっています。

神経障害の初期は、手足のしびれ感、ほてり感、冷え感といった自覚症状があり、痛みが出たり、自律神経障害も出現し、胃腸の運動が悪くなり、便 秘になったり、下痢になったりします。また、膀朕の働きも悪くなり、頻尿や尿閉となったりします。起立性低血圧による心臓発作もおこります。男性 では、インポテンツにもなります。

合併症を予防するためには、血管のコントロールをよくすることはもちろんのこと、高血圧、高脂血症のコントロー ルも必要です。