訴訟社会化の中で相談急増 社会全体が現在、「訴訟社会化」の流れのなかにあり、保険医協会にも多くの相談が寄せられる ようになってきています。寄せられる相談の多くはほとんどその場で解決するか、あるいは専門 家の協力で解決しています。この経験から「訴訟」は未然に防げることが圧倒的で、本当に訴訟 となるのは百件のうちわずかであるといいます。 講師の尾内康彦氏が所属する大阪保険医協会でのトラブル対策の中身は、「悪徳業者(反社会 的勢力を背景に持つ)とのトラブル」「患者とのトラブル」「従業員とのトラブル」「その他」 の4種類があるとのことです。以下、当日(7月13日・栃木県総合文化センター・第1会議室)の 講演要旨を紹介します。 |
悪徳業者とのトラブル-新たな手法に注意 @振り込め詐欺 多くの人は「騙される人がどうかしている」と受け止める向きが多いですが、これは間違いです。 現在、振り込め詐欺を教育する専門の「スクール」や教本もあり、見破ることは難しくなってい ます。 A高額図書販売商法 B送りつけ商法 悪徳業者とは、反社会的勢力を背景に持つ組織ということ。こことのトラブルを見ていると、 間違いなく医療機関はターゲットにされています。現在、反社会的勢力は組織実態をほとんど隠蔽 し、活動形態として政治活動や社会運動を仮装し、その活動窓口にNPO法人等も利用しています。 構成員の家族らに介護資格をとらせて裏で糸をひくなど新たな手法にも出ており、彼らの動きをよ く研究し対策を講じる必要があります。 |
患者とのトラブル-安易な謝罪は禁物 最近、圧倒的に多くなっているのが、「患者とのトラブル」「薬物依存症の患者」「精神的に不安定 な患者」「暴力的性向の強い、激情型の患者」「ハードクレイマー」などをめぐっての相談です。 よく相談では、「診療拒否」にあたらないかと心配してきますが、相談時にはもうその域を越えて いることがほとんどで、とくに診療レベルでの悩みはきわめて深刻。穏便にすまそうとその場で「謝罪」 するケースがありますが、基本的な心構えとして、これは厳禁です。誤解を与えた点についての「謝罪」 はしても医療行為については『よく調べてから返答したい』と伝えるにとどめるべきです。 また、相談を受けるなかで、「先生よく我慢しているな」と思う事例が多いです。例えば、刑法で @強要罪A脅迫罪B暴行罪C威力業務妨害罪D器物損壊罪に該当する例があれば早急に警察に連絡する ことが必要です。 最後に、開業医の場合は、自分だけで何とかしようという傾向が強いため、問題が深刻化してからの 相談が多いです。どうしようもなくなってから警察や弁護士等に連絡するのはではなく、早めに手を打つ ことがとても重要です。 |
講師:尾内康彦氏(大阪府保険医協会事務局次長) |
今回の講演の内容は、大阪府保険医協会より5月に発行された「医療機関まさかのトラブル対策」 (写真)にも掲載されているので是非ご一読をお勧め致します。なお、学習会当日の資料につきましては ご希望の先生にはお送り致しますので事務局までご連絡ください。 会員価格1,400円(送料含む) ご注文はこちらから |