LESSON15

聴障の患者を知ろうA「診療時・・・患者主体を目指して」

以前に、診療の際の「アイレベル」「情報保障」について書きましたが、実際に聴覚障害者(ろう者)を診療する時に心を開いてもらうテクニック はあるでしょうか?

自分の訴えに耳を傾けてほしい・・・健聴者・ろう者関係なく患者の気持ちは同じです。患者が自分の症状を訴えやすくするために、場・時間・ツール を持つことは大切です。

その他に、心理的な要因も考えられると思います。ろう者にとって手話とは言語ですが、私にはろう者の心の扉を開く鍵のように思えます。

手話を診療に使えるレベルまで上達させることは、容易なことではありません。私が5年前から手話を習い始めて、実際にろう者に接してわかった ことは、手話を表す以上に手話を読み取るのは難しいということです。一回でくじけずに「もう一度表して」「ゆっくりお願い」と食い下がり、 やっと内容を理解することはよくあります。

「情報保障」や「患者の訴えを聞くツール」の観点で手話のできる先生がいること、また、手話通訳者派遣制度の整備は重要です。

しかし、そのレベルに至らなくても是非多くの医師、歯科医師に手話を覚えて欲しいと思います。患者であるろう者からすれば先生から手話が 表された時、まず安心します。そして、診療中の会話全てが手話でなされなくても、先生の姿勢を好意的に思ってくれる事でしょう。

また、患者と目を合わすことでいろいろな情報を入手できます。聞こえない人は自分の体のことについて、巧みに表情豊かに全身を使って表現 してきます。それらのシグナルを的確にキャッチすることで、診療に結びつくことは多いと思います。患者は医師に心を開き、医師は患者の成長を 見守り、お互いの理解を深める事で、患者主体の医療を実現できるのではないでしょうか。






「あなたの病気は喘息です」
写真をクリックすると大きく表示されます
戻る