LESSON19

災害を考える:医療従事者のネットワークと班活動

 聴覚障害者(ろう者)の医療について学習している私たち栃木県手話通訳問題研究会(栃通研)「医療班」は、 全国手話通訳問題研究会(全通研)の都道府県支部です。全通研では年に2回、夏と冬に全国集会が開かれます。 全国集会は通研会員と聴覚障害者協会会員を対象に開催(夏集会は非会員の参加も可)されていて、 今年は神奈川県(冬)、熊本県(夏)で行なわれました。その全国集会に合わせて「聴覚障害者の医療に 関心を持つ医療関係者のネットワーク」(聴障・医ネット)という集まりが開かれます。 この聴障・医ネットは全通研会員の中の医療関係者・手話通訳者・ろう者が参加しています。

 この聴障・医ネットが発足したきっかけは、阪神・淡路大震災のときに遡ります。それ以前からも 全国討論集会(冬)の分科会「医療」で、医療関係者がろう者の医療に関する問題を討議し続けてきました。 そして、阪神・淡路大震災が発生し、対応が遅れがちなろう者に対してできることは何だろう? ということで 聴障・医ネットが発足し、医療団を編成して神戸で活躍しました。

 前回の聴障・医ネットのテーマは「災害時の医療支援」ということで、実際に阪神・淡路大震災を 経験したろう者や手話通訳者が実際どのような活動をしたか? また、どのような問題があったのか?  といった内容を2時間にわたって討論しました。その中で、ある医師から「意識障害についての判断基準」 (グラスゴー・コーマ・スケール)について話が出されました。「開眼」に関する評価: 4点…目が開いている、3点…呼びかけると目を開ける、2点…患者に痛みを与えると目を開ける、 1点…以上のことをしても開眼しない。

 ろう者の場合、聞こえないことがわからずに判定されると、重く判断されてしまうことになります (「言語」「運動」に関する項目も同様に評価が下がる)。視覚障害者は白杖を持っていることで、 肢体不自由は車いすや補装具などでわかります。しかし、ろう者は外見からでは判断しにくく、運ばれて きた人が声かけに反応しないときに、「もしかしたら耳が聞こえないのかも?」といった医療関係者の気づきが 大切になります。

 このような気づきを始め、聴覚障害というものは耳が聞こえない機能障害だけではなく、様々な ハンディキャップがあるということを広めていきたい。そして聴障・医ネットのようなネットワークを 是非とも県内にも実現できたらと思っています。






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