LESSON29

闇の中の対話

先日、「DIALOG IN THE DARK」というワークショップ(東京・2004年9月4日終了)に参加しました。これは、真っ暗な空間を盲人のアテンド (世話人)と白杖そして、自らの感性を頼りに移動・体感するというものです。視覚を奪われると、自分の他の感覚が敏感になるのがわかりました し、視覚障害者の気持ちを少し理解できたようでした。

10人1組となり、会場に入る前に白杖を渡され使い方の説明を受けます。三段階を経て光の全くない会場に入ると、目は開けていても、閉じて いるのと同じ、つまり、視覚という感覚がなくなります。

最初に皆で数珠の様に連なって歩き出し、ざらざらした地面の上に立ちました。「砂か砂利が敷いてあるのかな?」と思っていると、アテンドが 、「さあ、私の声の方に来て下さい」と声を掛けてきます。しかし、足がすくんで出ません。何とか白杖を使って歩くとそのうち草の上(本当は何 の上だったのかな?)にたどり着きました。この後もどんどん感覚を試される仕掛けがあります。今後、参加される方のために詳細はこれぐらいにし ましょう。

資料によると、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というのは1989年にドイツで生まれたプロジェクトであり、基本コンセプトは、

  1. 完全な暗い空間を作る。
  2. 複数の人と一緒に入る。
  3. 視覚障害者にアテンドしてもらう。
というものです。
聴覚障害者を理解するだけではなく、暗闇に放たれた他人同士の10人が連係を持ったり、思いやったりする過程も新鮮な驚きがあります。

目標はドイツのような常設会場での開催。また、一般・企業・子供・教育機関・医療機関を対象とした研修やワークショップの開催で す。視覚障害者への理解が深まるだけでなく、視覚障害者の雇用ができます。この活動を継続的に行うために日本でも「特定非営利活動 法人」を2002年に設立しました。

私も参加して、障害を知る(また、相手の立場を知る)ためには、同じ環境でなければ分からないことがあると痛感しました。完全な 暗闇を作ってはじめて盲人がどうやって歩くか理解できるのです。このイベントは聴覚障害者への対応もできるということです。また開催 されると思います。全ての人に参加していただきたいイベントでした。






「次回は通訳者を同行してきてください」
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