LESSON3

聴覚障害者(ろう者)とのコミュニケーション
医療現場で気をつけること@

人は言葉を耳から聞いて覚え、口から言葉を発することができるようになります。

生まれつき聞こえない聴覚障害者(先天性ろう者)が聾唖である所以です。ろう者の場合は言葉を見て覚えます。従って健聴者と比べると比喩的な言い回しを 理解するのが苦手です。特に、二重否定・部分否定・未来仮定形などです。

みなさんが医療現場で何気なく使っている言葉はろう者に理解されないかもしれません。事例をあげて検証してみましょう。

@問診時…『お酒』・『塩分』等
問診時に先生が「お酒を飲みますか?」と聞き、患者が「ええ、毎晩ビールを350mlくらいです」と答える。よくなされる会話でしょうが、この会話は、『お酒』 がアルコール類全般のこととして成り立っているのです。ろう者の中には『お酒』=日本酒と思い込んでいる人も少なくありません。それは『お酒』を手話では 『日本酒』と表現するからです。手話の世界では代表的な物を取り上げて表現することで抽象的な名詞に置き換えることがあります。従ってこの場合、「この先生 は私が日本酒を飲むかどうか聞いているんだ」と質問を受け止めてしまいます。問診時にこういった誤解を防ぐためには具体例をあげるといいでしょう。「あなた はビール・ワイン・焼酎などをどれぐらい飲みますか?」

同じように『塩分』も簡単に「塩分を控えてください」というものでは通じていないかも知れません。『塩分』を如何に説明するかは難題ですが、「味の濃い お味噌汁やしょっぱいお漬物などの塩味の強い物は食べないでください」の様に具体例を羅列する方が理解しやすいようです。

A薬の飲み方の説明…『座薬』・『食間』等
『座薬』とは座って飲む薬、『食間』とは食事を食べている間に飲むこと。この誤解は健聴者であっても聞かれる事例ですが、このように漢字の並びのまま判断する とコンプライアンス(服薬遵守)が低下してしまいます。薬を渡すとき、薬袋に何時・どのように服用する薬かを細かく書いたり、具体的に服用する様子を再現して 見せるのがいいでしょう。






「大丈夫」
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