LESSON4

アイレベル(目線と会話ポジション)
医療現場で気をつけることA

皆さんは、ろう者(聴覚障害者)に対してマスクをしたまま会話していませんか?ろう者が手話通訳者を同行してきた時、患者を見て話していますか? カルテを書きながら話していませんか?

問診・診断・治療計画等の説明の時に、患者と正面を向き合い、目を見ながらゆっくりと会話するのは当然のことですが、歯科の場合は、治療中、ろう者に 説明するのにかなり工夫が必要です。

例えば、歯科診療の情景を思い浮かべてみてください。患者が聞こえる場合、患者に手鏡を持たせて自分の口腔内を見てもらいながら、医師は説明を行いま す。見るのと同時に自分の耳から情報を獲得することができるのです。…ろう者に対して同様の情報を保障しながらやりとりする場合、同時に行うことはできま せんから治療椅子を起こしては患者の正面に回ってマスクを外して説明し、また倒して口腔内を指し示す。この一連の運きを何度と繰り返すことになります。

私の場合は、まず絵や写真で治療のイメージを持って頂き、次に治療内容や治療をしていく上で起こりうる事を可能な限りまとめて話してから治療にとりかか ります。鏡で口腔内を見てもらうのと説明を逆にすることで結果的に手間を減らしています。しかし、つい患者を寝かした状態で「大丈夫?」と語りかけてしまう ことがありますが、基本的にろう者の正面で目線を合わせながら会話することが大切です。

同様に、患者が手話通訳同伴で来た時にも、患者と対峙して会話をすすめることがより良い信頼関係を築く上で望ましいと思われます。しかし、実際に経験す ればわかりますが、無意識に体がろう者ではなく手話通訳者へと向いてしまうのです。

冒頭の問いかけは、栃木県手話通訳問題研究会・医療班で医療場面のロールプレイを行った際にあげられた問題点でした。その中でも、一番多く出された意見 が、「手話通訳者同行時には、医師は手話通訳者ではなく患者を見て会話するべきだ」でした。あわせて目線が自然に合うような位置の工夫がポイントと言えます。



お詫びと訂正
LESSON3のワンポイントレッスンに誤りがありました。『基本的動作』のところは、「右手の指を閉じた状態で指先を(右胸⇒)左胸に置き、続けて右手を (左胸⇒)右胸に移します」でした。お詫びして訂正致します。





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