LESSON7 入院に伴う注意点@ |
コミュニケーション保障 |
今回から数回にわたって、聴覚障害者(ろう者)が入院した時の問題点について考えたいと思います。 第一回目は入院時の「コミュニケーション保障」についてです。 医療機関に手話ができる人がいない場合、または手話通訳者が派遣されていない場合、ろう者が入院する ということは、24時間コミュニケーション・ツールのない場所に拘束されることになります。 それが、緊急入院となればなおさらです。携帯電話は使えない、パソコンは家に置いてきた、 家にあって当たり前のファクシミリも病院には無い。ろう者は完全に孤立してしまいます。 この場合対策は二つ考えられると思います。一つは医療機関にろう者が利用できるツールを 設備することです。この場合、最も手軽なのは、ホワイトボードです。診療室、検査室、病室など、 あらゆる場面で有用です。同様に以前お話しした、パソコンも主に若い世代には筆記の代わりによく 利用されています。設備投資が必要ですが、患者用ファクシミリもあると便利です。健聴者が公衆 電話をよく利用することを考えれば、何故ないのか不思議に思えてきます。実際に、私は病院で 見かけたことはなく、駅・県の施設(福祉プラザ)に有料のファクシミリがあるのを見ました。 NTTの窓口・コンビニエンスストアーが近くにあれば、ファクシミリの送信ができます。 NTTの営業所に問い合わせたところ、NTTが設置している公衆ファクシミリはないそうです。 しかし、設置してあっても利用者からすると使い勝手は悪い様です。まず、料金が高い。 そして、送信できても、受診ができないか、または、できても記録紙を用意しなくてはならない。 ついでにファクシミリの難点を挙げると、送信が相手に伝わったかの確認ができないこともあります。 患者用ファクシミリの設備はなかなか手が出ないでしょうが、どの病院・診療室にも事務用 ファクシミリはあると思います。ろう者に対して事務用ファクシミリを使えるようにご配慮ください。 もう一つの対策は、ろう者の持ち込んだコミュニケーション・ツールを使える様にすることです。 近年、ろう者が重宝しているいちばん身近なコミュニケーション・ツールといえば携帯電話の Eメールでしょう。しかし、携帯電話を医療機関内で利用しないということは常識になってきている と思います。一方、ろう者が入院の際、病室にパソコンが持ち込めなかったという話を聞いたことが あります。医療機器の使用状況によって異なると思いますが、もしも、可能な場合は携帯電話や パソコンの持ち込みは認められないのでしょうか? また、PHSは院内の連絡ツールとして安全性が確立してきたと聞きますが、PHSやディジタル
公衆電話、ICカード公衆電話があれば、パソコンや携帯端末からの通信が可能になります。
これらは、ろう者が外部と連絡を取る上で、また快適な入院生活を送る上で、大切な道具として
ご理解ください。 |
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