大方、人は誰でも、本職とは別の趣味を持っている。私の場合はここ10年、 「山スキー」(バックカントリー)にはまっている。 それまでいろいろなスポーツをやってきた。卓球、スケート、野球、 器械体操、スキー、テニス、ゴルフ、パラグライダー、ダイビング、水泳、 マラソン……等々、そのほとんどは中途半端に終わったが、山スキーだけは 残りの人生を懸けることができる趣味として的が絞られた。年老いて歩けなく なるまで続きそうである。 昔はゲレンデで滑っていたが、マンネリ化してきた頃、山スキーと出会った。 それは、ある人の「ゴルフにたとえるなら、ゲレンデスキーは練習場の打ちっぱなし、 山スキーは本物のコースプレイかな……」という言葉からだった。この言葉に ショックを受けて始めた山スキーだったが、案の定、雄大な自然の中に羽ばたいて、 チャレンジ精神が湧きあがる面白さをみつけた。 |
山スキーは単純で、人の手が加えられていない自然の雪山を、ただ山頂まで登り、 そして一本、降りてくるだけである。この単純さの中に、すぐに飽きてしまって 物足りなく感じられた人工ゲレンデのスキーとは異なる、手つかずの自然を相手にする バリエーションとスリルが山スキーにはあって、堪らないのである。 山スキーの一番の醍醐味は、腰まで埋まってしまうほどの深雪・極上パウダーの 中で“宇宙遊泳”を堪能できることである。その次に、春山スキーの爽快さがある。 天気がよいと空気の透明度も高く、大パノラマ鑑賞のツアー気分を味わいながら、 “シャーベット”上に自分だけのシュプールを描くのがまた堪らない。 滑っているときは笑いが止まらないし、降りてきた後々まで、しばらくの間、 興奮が覚めやらない。しかも、下山後の温泉三昧と民宿の料理で“極楽気分”を 満喫できる。 |
南会津の山々が私のフィールドであり、12月から翌年の5月いっぱいまでの 約半年間、滑ることができる。私は檜枝岐の民宿「御宿郷」を基地にして活動して いるが、山菜、きのこ、鹿肉、イノシシ、イワナ、サンショウウオや数々の珍しい 郷土料理(東京で値段をつけるなら2万円を超えると思うが……)と温泉入り放題などの 種々の特典がついて、1泊2食付で8000円と格安である。山スキーなのでリフト代は 当然かからないから、他にかかる費用はガソリン代だけである。 週1〜2回は必ず登るので、1シーズン換算で優に30日を超えるほど山スキーを 楽しんでいる。シーズン到来! 興味のある方は声を掛けてみてください。 鈴木宏彦が運営するプライベート写真館 「本音でトーク」 |
栃木保険医新聞2011年新年号・投稿 |