7月15日(金)。朝7時前に宇都宮・東武駅前を出発したバスは、出羽三山(山形県中央部にある羽黒山・月山・湯殿山の三つの山をいう)の主峰、1984mの月山を目指した。 一行は、大型バスに乗り合わせるには少人数の16人。私達は、修験者ではなかったし、夏山スキーを楽しむためでもなかった。何のことはない。偶然ゆきがかりの顔見世一団だった。 登山歴はなかったと思う。一路、月山の八合目へ(写真・右)。ここまではバスが登れた。それは、バスが通じたのは、1968年の夏とのこと。 当日(15日)の午後1時半から、1時間くらいかけて、弥陀ヶ原湿原を散策した。案内人が1人ついて説明してくれたが、しんどかったので上の空で、高山植物への関心が大分うすれて しまった。落ちないよう気を付けながら、板を渡した木道を歩くのが精一杯だった。山形・蔵王温泉で、山海の珍味を賞美し、硫黄泉につかって心身ともにリラックス。 |
翌16日(土)は、鳥海山麓へ。鳥海の伏流水による見事な滝の前で、岩に凭れながら、しばしの憩いをとった(写真・左)。伏流とは、水が地下に浸透して地下水となって流れる。この山麓・獅子ヶ 鼻湿原に湧き出す水量は、多いときは毎秒1.6tで、水温は一年を通して7.0度。これは家庭の冷蔵庫で冷やされた水とほぼ同じとのこと。 この湿原を回るトレッキング・コース1時間を別のガイドの男性の説明を受けながら奇形ブナの森林の中を歩き続けた。木道が緩やかながら上り勾配となり、奇形のブナが現れた。明治の中頃まで、 森林にわけ入り、積もった雪の上に出ている幹を伐って、薪炭に利用したそうだ。これを繰り返すうち、切り株がコブ状に盛り上がったという。ブナは漢字で“?”と書くが、今やブナの森は、長い年 月、およそ50年頃から100年を経て、鳥海の地中深い眠りから覚めた伏流水を育てていることが、人々にわかってきたのである。 鳥海マリモと呼ばれるコケの群生。学術的に大変貴重な天然記念物を見学した。散々歩かされて、疲れ切って、高原温泉ホテルに夕刻到着。 |
3日目の17日(日)は、日本一の深い湖の田沢湖で金色に輝く辰子姫像見学後、八幡平へ。 頂上付近は霧に覆われていた。ごつごつした石の道で、坂になっており難儀した。火山活動による爆発火口に滞水してできた八幡沼、蟇沼、そして湿原があった。 幸いなことに、一行の中に、捻挫や骨折がなく辿り着けた。これは私と妻にとってはハード・スケジュールであった。 前述した鳥海マリモについて付言すれば、北海道・阿寒湖の毬藻のように球状の団塊になる淡水藻ではないということ。 |
栃木保険医新聞2011年8月号・投稿 |