セミナー第2日目、7月2日の午前は5つの講座が開かれた。私は講座3「変わる国保〜強まる都道府県単位の医療費抑制策〜」に参加した。講師は津市三重短期大学教授長友薫輝氏であった。 国保は他の公的医療保険の加入する人々以外の全ての人々が加入する保険である。国民皆保険制度を下支えするセーフティーネットの役割を担っている。国保加入者は2015年度には農水業2.5%、自営業14.5%、被用者34.1%、無職44.1%であり、市町村国保加入者一人当たりの平均所得は協会けんぽや組合健保加入者に比べ最も低い。国保料は低所得者に対して所得の25%以上を超えている人もいる。 払えないので資格証明書や短期保険証を患者さんが持参するのだと思い当たった。しかも無保険者となって受診できず癌が進行していて亡くなったというニュースを思い出した。 2018年度から国保の財政運営主体を市町村から都道府県に移管する「都道府県単位化」に向けた動きがある。保険料試算が始まり多くの市町村が現在以上に保険料が上がることが示され、過酷な徴収が懸念される。そもそも払えないような保険料が貧困を拡大しているというのに「医療費適正化」という名の「医療費抑制策」がいっそう強まりそうだ。 国保への国庫負担が半減されてきているのが国保財政を厳しくし、加入者に高い国保料が課せられているのだ。社会保障の視点からも「払える保険料」を実現するためにも大幅な国庫からの補助が必要と思われる。国保都道府県単位に目が離せない。 |
栃木保険医新聞2017年8月号 |