2021年 年頭所感

会長・長尾月夫



必要な情報を安全・適切に発信し、頼りになる協会運営に努めます


 明けましておめでとうございます。

 昨年は新型コロナウイルス(COVIT-19)感染症が世界中で流行し、未曾有の大流行に情報が錯綜し、翻弄された1年間でありました。 医療現場を提供する立場にある私たちも、診察の方法ひとつとっても正解がわからず、次々に入ってくる新しい情報に混乱の日々でした。 武漢市の市場から広がっていったとされる同ウイルスですが、世界最初の症例から1年が経った現在でも、その拡大傾向は留まるところを知りません。 現代の高齢化社会において、家族の団らんや職場・人との交流が健康寿命を延ばすのだとお伝えしていた私としては、「三密を避ける」 というのが少し寂しいようにも感じてしまうのが本音ではありますが、特にこれからの季節、乾燥によるウイルス感染症の大流行も懸念される状況においては仕方のないことでしょう。

 新型コロナウイルス感染症患者は再び急増しており、医療現場の逼迫が全国で深刻化しています。 生活習慣病を含む既往症へのアプローチの重要性も叫ばれている今、その影響は、直接感染患者の診療にあたっている医療者のみに留まりません。 多すぎる不確かな情報はかえって混乱に繋がりかねないことを、私自身、身をもって体感しておりますので、当会からの情報発信にあたっては慎重に行っていく必要があると、改めて考えております。 その上で、必要な情報を、安全で適切な方法・タイミングで提供できるよう努力してまいりたいと思いますので、会員の皆様には引き続き、幅広い知識やご意見を提供いただき、より良いものにしていけたらと考えております。

 ご存知かとは思いますが、新型コロナウイルス感染症対策としての巨額な借金により、日本の財政状況の悪化もまた問題視されています。 当面の危機対策が最優先ではありますから仕方のないことですが、自己負担額増加により通院の足が遠のいては予防医学として全く意味がなくなってしまいますから、 必要なところに過不足なく予算があてられるよう声を上げていかねばなりません。 新型コロナウイルス感染症に限らず、不登校・虐待など小児に関わる問題、老老介護など、日本の抱える問題は山積みです。 保険医新聞や、ホームページを利用して、引き続き情報を発信していきたいと思いますので、お忙しい中とは存じますが、ぜひ広く皆様にご一読いただけましたら幸いです。

 新型コロナウイルスに関しては、各所で様々な研究がなされており、明らかになってきていることも多くあります。 スーパーコンピューター「富岳」を用いた飛沫実験は、今後の医療現場における飛沫対策を考える上でも有用と感じました。 今後さらに、新型コロナウイルスに関する疫学が明らかになっていくことを期待しながら、皆々様の健康をお祈りし、新年の挨拶の締めくくりとさせていただきたいと思います。

 本年もどうぞ、変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

栃木保険医新聞2021年新年号