2022年 年頭所感

会長・長尾月夫



山積する日本が抱える問題と向き合いながら
洗礼された医科歯科連携の実践、組織拡大に努めます


 COVID-19感染症が初めて確認されてから、今年で丸2年になります。 マスク生活にもようやく慣れ、ワクチンの集団接種も進み、ここ栃木県でも新規感染者の報告がない日が続くなど、 ようやく収束かと安堵しかけた矢先の新たな変異株の出現に、想定はしていながらも、落胆の気持ちは大きいものでした。

 この、「オミクロン」と命名された新たな変異株に関しては、「変異の数がウイルスの強さを反映するとは限らない」、 「繰り返す変異はウイルスの自滅につながる」など、専門家により様々な仮説が立てられてはいるものの、 結局のところ確かなことはまだわかっていないのが現状のようです。

 帰国者による伝播が危惧される一方、経済活動への影響への懸念もあり、対策が悩まれるところです。 専門外の私には全く手出しのできない話ではありますし、入ってくる情報に振り回されてしまいそうになりますが、私たちにできることは、 感染症を甘く見てはいけないということ、基礎疾患の管理をしていくことの重要性を、改めて認識しきちんと伝えていくこと、この2点だと考えています。

 十分な感染予防対策を継続し医療現場の安全性を保ち、生活習慣病をはじめとする既往症の管理や、喫煙・口腔ケアなどの日常生活における指導をしていくことは、 軽視されてしまいがちですが、特に昨今、65歳以上の高齢者が総人口の3割に迫りつつある日本で、重症化防止や免疫力の低下の予防という観点において、とても重要であるといえます。 加齢による衰えは仕方のないところですが、健康寿命を支える医療は提供しなければならないものだと考えています。

 その一方で、医療費の自己負担限度額引き上げによる不安の声も聞かれます。そういった不安に寄り添いながら、洗練された医科歯科診療を実践していくためにも、 必要な情報を適切なタイミングで発信していけるよう、科学的根拠に基づいた情報に常に注意を払い、努めていきたいと考えております。 会員の皆様には引き続き、幅広い知識やご意見を提供いただきたく、そうして集まった一つ一つの声を大きなものにしていくためにも、ご協力をいただけましたら幸甚の至りです。 新規入会につきましてはいつでも受付ておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 感染症に限らず、コロナ感染症による活動性の低下から、肥満症含む生活習慣病の悪化、家庭内暴力、不登校・虐待など小児に関わる問題、老老介護など、日本の抱える問題は山積みです。 保険医新聞やホームページでも、引き続き情報を発信していきたいと思いますので、お忙しい中とは存じますが、ぜひ広く皆様にご一読いただけましたら幸いです。

 皆々様のご健康をお祈りし、新年の挨拶の締めくくりとさせていただきたいと思います。本年もどうぞ、変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

栃木保険医新聞2022年新年号